Case FilesFujitec
Case File — JP · Industrial

Fujitec6406.T

🇯🇵 Oasis Management · 2022–2025
要求全面実現ガバナンス

創業家支配・関連当事者取引・ガバナンス欠陥:3つの論点が重なったプロキシーファイト

フジテック × Oasis Management(2022-2023年)

① 会社概要

フジテックはエレベーター・エスカレーター・動く歩道など都市空間移動システムを専門とするメーカー。研究開発から製造・販売・据付・保守まで一貫して手がける。2022年3月時点の時価総額は約2,550億円。創業家の内山一家が長年にわたって経営の実権を握り、コーポレートガバナンスの実効性に疑問が呈されていた。

② アクティビストの登場背景

Oasis Management(香港拠点)は2022年12月、フジテックに対して臨時株主総会の招集を請求した。現職の社外取締役全員の解任とOasis推薦の社外取締役候補6名の選任、および社外取締役への株価連動型インセンティブの導入を要求した。

Oasisが指摘した「価値の歪み」:

・創業家出身の内山高一社長による関連当事者取引の疑惑(内部告発により把握)

・新中期経営計画の達成可能性への疑問

・コーポレートガバナンスの構造的欠陥

・競合他社と比較した株主還元の遅れ

Oasisは現・元従業員からの内部告発によって関連当事者取引に関する情報を把握したとされており、これが攻撃の根拠となった。

③ 会社・取締役会の対応

フジテックはOasisの提案に全面反対。「事実誤認や恣意的な歪曲がある」と反論し、外部弁護士による調査で関連当事者取引に法的・ガバナンス上の問題はないとの結論を主張した。一方で株主からの意見を受け、独立した第三者委員会による調査も並行して進めた。

Oasisが推薦する社外取締役候補については「上場企業での役員経験不足」「利益相反の可能性」を指摘。また株価連動型報酬の導入は「社外取締役の独立性を脅かす」と主張した。

④ 結果と評価

2023年2月の臨時株主総会:Oasisが提案した社外取締役の解任・選任議案は否決。フジテックが提案した社外取締役2名の選任は可決。

2023年6月の定時株主総会:創業家出身の内山高一社長の再任が否決。Oasisが機関投資家の支持を得て反対を呼びかけた結果、内山氏が退任。実質的にOasisの目的は達成された。

2025年7月:EQTがフジテックを非公開化するTOBを発表。OasisとFarallon Capital Managementはこれに応募することに合意した。

アクティビストの論理は最終的に正当性を証明した。臨時総会ではOasisの提案が否決されたが、定時総会での社長再任否決という形で実質的な目的を達成。さらにTOBによる非公開化という出口まで実現した。

⑤ 日本の経営者・取締役への示唆

関連当事者取引は「法的に問題なし」では不十分。フジテックは外部弁護士の調査で適法と結論付けたが、市場の疑念を払拭できなかった。投資家は形式的な適法性ではなく、実質的な公平性と企業価値への貢献度を見ている。

内部告発がアクティビストの武器になる。Oasisは社内からの情報提供によって関連当事者取引の実態を把握した。日本企業でも内部告発・公益通報の制度整備が進むほど、アクティビストが企業内部の問題を把握するルートが広がる。

2段階戦略:臨時総会で負けても定時総会で勝てる。Oasisは臨時総会での敗北後も機関投資家への働きかけを続け、定時総会での社長再任否決という形で目的を達成した。アクティビストのキャンペーンは1つの株主総会で終わらないことを理解する必要がある。

TOBによる非公開化がアクティビズムの「出口」になる。一連のガバナンス騒動が企業価値向上と株価上昇を促し、最終的にEQTによるTOBという形での価値実現につながった。アクティビズムが企業の売却・非公開化の引き金になるケースは日本でも増えている。

⑥ 出典

フジテック IR資料(臨時株主総会対応)

日本経済新聞(2023年2月・6月)

Bloomberg(EQT TOB報道 2025年7月)

Oasis Management公開資料

Read in English

Fujitec × Oasis Management (2022-2023): Oasis targeted founding Uchiyama family's entrenched control and related-party transactions (sourced partly from internal whistleblowers). Lost extraordinary shareholders meeting in Feb 2023 but won the real battle at June 2023 AGM when CEO Uchiyama's re-election was rejected. In 2025, EQT announced TOB to take company private; Oasis and Farallon agreed to tender. Full campaign vindication over 3 years.

出典
https://www.fujitec.com/common/fjhp/doc/top_global/document/irarchive/https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUCSUAC/https://www.bloomberg.com/news/articles/fujitec-eqt-tob
Oasis Management の他の案件
en Japan
2025 · ガバナンス
Calbee
2025 · ガバナンス
Soft99
2025 · M&A反対
DIC Corp.
2025 · 取締役選任
最新ブリーフ・無料
株主提案139議案——「うちには関係ない」が今年通用しなくなった理由
ブリーフを読む →
← Case Files一覧に戻る